権威性とは?Googleが重視する「情報の信頼性」について


権威性とは何か「情報の信頼性」について

「SEO対策として、権威性が重要」という話をWebサイト運用者なら聞いたことがある方が多いでしょう。では、権威性を高めるとはどういった意味でしょうか。ちなみに筆者は、SEO対策において、いささか権威性という言葉が独り歩きしているように感じます。権威性は重要なシグナルではあるものの、SEO対策においてそこまで意識しなくてもいいかもしれません。今回、権威性の意味を理解したうえで、どういった対策を講じるべきかいくつかご紹介します。Webサイト運用者、特に企業の施策担当者にとって、参考になる内容です。ぜひご覧ください。


SEO対策における権威性とは何か

「権威性」とは、ある分野の情報において多くの人が「この人は、信用できる。」と認知している(認めている)Webサイト・コンテンツのことです。

近年、Webの発展に伴い、信頼できる公式情報だけでなく口コミなどの主観的情報など、多様な情報がインターネット上に流通しています。こうして有益な情報が増えた反面、誤った情報や古い情報、誤認されやすいものまで、信頼性を担保できない情報も非常に多いのが現状です。

SEO対策において権威性が話題になる背景には、時に安全や損害を被るリスクの伴うWeb情報を安心して利用できるかどうか、情報の信頼性向上や検証できる仕組みが社会的に求められていることが挙げられます。

そこで検索エンジンを提供するGoogleは、外部のWeb関係者向けに作成した品質評価ガイドライン(General Guidelines、以下GG)の中で、評価基準のひとつとして「E-A-T」の重要性を強調しています。E-A-TのAに当たるAuthoritativenessは日本語で「権威性」という意味であり、発信者情報の信頼性が検索ランキングに関わることが明記されています。

Web上の全てのコンテンツに権威性が求められる

SEOにおける権威性について、医療や薬などの健康系や投資などのお金系、政府発行などの公共系の情報のみ対策すればいい、と解釈する方も見受けられます。しかし、実際にはGoogleはGGで次のように明記しています。

“there are “expert” websites of all types, even gossip websites…”
引用:GG. 4.5 A High Level of Expertise/Authoritativeness/Trustworthiness (E-A-T)

GGに記載された文章の抜粋ですが、意味は「全てのWebサイトに専門性を備えたページが存在する」と言っており、あらゆるジャンルのWebサイトにおいて権威性が必要であると解釈できます。Webサイトを通じ情報発信するコンテンツ提供者は、どんな情報であれ権威性への取り組みが一定程度必要であると認識しておきましょう。

Googleは権威性の判断方法を非公開

権威性とは〜Googleの判断は〜

インターネット上では権威性の高め方として「専門家の監修」や「運営者情報ページの作成」など、一見それらしい対策を語るケースが見受けられますが、どれほど効果があるのかは懐疑的です。加えて、Googleは現在までどういった手法で権威性を測っているかについて、公にしたことはありません。

筆者はこれまで、運営者情報ページがないWebサイト運営、外注ライターによるE-A-T記事の作成などの実験的な取り組みを通じ、現在出回っている権威性対策はほとんど効果がないと考えています。専門家の監修については、ユーザーの離脱率を下げ(権威性ではない)ページの滞在時間が伸びるという、PageRankを上げる対策には効果があると考えています。

必ずしも権威性が重要ではない

権威性が重要ということは広義では間違いないものの、実際にWebサイトにおいてコンテンツを作るにあたって、権威性をあまり必要としないケースもあります。では、どんな検索クエリが、権威性を求められないのでしょうか。

そこで、実際に販売されている商品「パナソニック ナノケア(ヘアドライヤー)」を例に、どのような傾向があるか調査しました。

調査方法
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調査1.「ヘアドライヤー ナノケア」の検索結果
まず、ユーザーはパナソニック ナノケアを購入したいが、使い勝手が気になっていると仮定します。そこで始めに「ヘアドライヤー ナノケア」で検索したところ、検索上位にナノケアの公式Webサイト、大手通販サイト、有名サイトによるレビューが表示された。この検索結果により、ユーザーは製品の性能は理解したが、使い勝手は分からなかった。
キーワード「ヘアドライヤー ナノケア」の検索結果
検索結果は、権威性が高いサイトが上位を占める

調査2.「ヘアドライヤー ナノケア 使い勝手」の検索結果
そこで、より具体的な検索クエリ「ヘアドライヤー ナノケア 使い勝手」を入力し、使用感に関する具体的な情報を得ようとした。検索結果は一変し、検索結果の上位には権威性の高い一部のWebサイトが消え(減り)、感覚的な使用感を書いた個人ブログやレビュー記事が多く残った。
キーワード「ヘアドライヤー ナノケア 使い勝手」の検索結果
検索結果に、権威性の低い個人ブログがランクイン
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※上記の調査では、検索クエリが異なるため権威性以外の要因(キーワード対策、ページの狙い、被リンク数)も多く含んでいます。検索クエリを変えると、検索結果から権威性の高いページが排除されるケースも有るという参考としてご覧ください。

分析・傾向 
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調査1.〜上位サイトの傾向〜
  • 情報発信源…商品Aの販売メーカー、大手通販サイト、有名なWebメディア、同ジャンルに精通した個人ブログ等
  • 検索クエリに対する情報…製品スペック、最新情報、機能紹介、レビュー(ポジティブな内容)等
  • Webページ内容の評価…客観的、肯定的な内容が多い、専門性が高い
  • Webサイトの信用情報…実世界の連絡先情報(事業所所在地、電話番号、連絡先、筆者情報)が充実している
  • 外部評価…Wiki、NAVERまとめなど、他メディアでの言及があり、発信元の知名度が高い

調査2.〜上位サイトの傾向〜
  • 情報発信源…個人のレビューブログ、アフィリエイトサイト、大手通販サイトの批判レビュー、商品Aの販売メーカーQ&A等
  • 検索クエリに対する情報…口コミ情報、批判に対する回答、レビュー(ネガティブを含む)等
  • Webページ内容の評価…主観的、否定的な内容を含む、専門性は低い
  • Webサイトの信用情報…運営者情報ページがない、個人運営のWebサイトが多い
  • 外部評価…他メディアでの言及が少なく、発信元の担保ができない

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調査1.2.〜結果〜
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調査から、「使い勝手」という主観的な表現を検索クエリに含むことで、検索結果から権威性が低いWebサイトが多く残ることが確認できた。これは、どの商品、サービスにおいても、比較的同様の結果となる傾向があります。

この結果から、検索クエリによって権威性が検索ランキングに及ぼす影響が異なることが推測されます。今回は、分かりやすいケースとしてクエリを変えて調査しました。その他の例としては「ロジカルシンキング」といった権威性があまり重視されないと想定される検索クエリでは、個人ブログが多く検索上位に表示されます。

筆者は、その他複数の方法で権威性についての調査を行っており、権威性の重要性はコンテンツ(ジャンルや検索クエリ)により異なるとの見解を持っています。
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上記の結果だけでは判断が難しいものの、一定の権威性の評価には使えるはずです。個人ブログやアフィリエイトサイト、製品比較記事などは、権威性が求められない検索クエリを選び記事を書くことで、検索上位化が容易になります。

権威性を高める具体的な方法

Wikipediaのパナソニックに関するページ

逆に、権威性が高く求められるコンテンツもあります。権威性が求められるケースには、どう対処すべきでしょうか。

まず、「〜先生」「〜教室」「株式会社〜」と聞くと、何かの専門家や組織だと感じる方も多いはず。こうしたステータスを表す枕詞だけでなく、販売実績、情報の信憑性や社会的評価などは、現実世界においても非常に見分けるのが難しいものです。

Web上の権威性の判断において、クローラーが多数の指標をもとに判断しているといわれています。そのため権威性が高い組織や人であると検索エンジンに認識されるためには、権威性を示す名前を付けるだけでは不十分であり、外的に評価を裏付けられるシグナルや指数が必要となります。

弊社では保有する自社サイトやクライアント企業様のWebサイト、外部Webサイトのチェックなどから、権威性を高めると確認された手法をいくつか所有しています。そこで、ここでは権威性を高める手法の一部をご紹介します。
  • Wikipediaに自社情報を掲載…GGでも頻繁に取り上げられている通り、WikipediaはGoogleが非常に重視するソース元です。そのため、権威性を高める場合、自社情報をWikipediaに掲載する必要があります。ちなみに、Wikipediaへの自社情報の登録は誰でも行えるため、未対策の場合は早急に実施しましょう。
  • 信頼性の高い情報へ発リンク…自メディアのコンテンツ作成に当たり、参照した論文や研究データがあれば、記事内で「参照」「参考文献」などの注記を入れることを忘れないでください。参考にした情報が信頼できる情報であるほど、発リンクとして自社の権威性向上に繋がります。これはGoogleとハーバード大学が保有するPageRankと呼ばれる特許に、重要性についての詳細が記載されています。
  • 他サイトからの評価(口コミ・評判など)…権威性が高いWebサイトは、他サイトに情報が掲載され拡散されているのが一般的です。時事性の高いニュースや個人ブログ、商品のレビュー記事など、掲載ジャンルは多岐にわたります。ちなみに、拡散した情報に自社への被リンクが載るケースと載らないケースがあります。被リンクされている方がより効果が高いものの、被リンクのない文字情報の拡散でも、クローラーが見つけることが出来るため権威性向上に効果があります。
  • SNSでの拡散…TwitterをはじめとしたSNSでの拡散もGoogleのクローラーはチェックしています。なお、SNSごとに拡散の規模や属性が異なるため、どのSNSで拡散させるかも視野に入れ運用を検討してください。SNSの運用は担当者への負荷が大きいため、運用の是非を慎重に検討する必要もあります。

権威性を高める手法はSEO関係者によって意見が分かれるポイントでもあります。リンクジュースなども関連してくるなど権威性は複数の指標に関連していることが、評価を難しくしている要因です。

その中でも、上記の対策は効果が高いとの声をSEO関係者からよく聞く手法となります。その他、権威性に関する情報をお持ちの方は、ぜひ情報交換をしましょう。筆者からは、今回ご紹介した権威性の対策以外の情報などを共有いたします。

SEOにおける権威性のまとめ

今回は、SEOのなかでも概念的で捉えづらい権威性について解説しました。筆者は国内外の情報筋より、今後より権威性が求められるジャンルやクエリが広がると聞いています。現状ほとんど意識しなくてもいいと思われる個人ブログやアフィリエイトサイトにおいても、権威性についての情報はしっかり追っておくほうが良いでしょう。

参考文献: